ノートパソコンの動作の遅さや不安定さで悩んでいる方はいませんか。そのような方におすすめをしたいのはメモリ増設です。
メモリはデータの一時保存をするパーツで、大きいほど快適な動作が期待できます。
本記事ではノートパソコンのメモリ増設の基礎知識や、筆者が実際にメモリ増設したやり方、注意点を紹介します。
目次
ノートパソコンのメモリ増設すると効果があるの?
ノートパソコンにメモリ増設すると、以下のメリットがあります。
- 演算処理の速度アップにつながる
- 複数のアプリケーションを同時に起動できる
- ノートパソコンの動作の安定性を高められる
なぜならノートパソコンのメモリの役割は、ストレージとCPUを円滑につなぐ一時的なデータの保存スペースのためです。
メモリを机に例えるとわかりやすいでしょう。
机のサイズが大きいほど、同時に違う作業ができたり、多くの資料を広げられたりするためです。
メモリが小さい状態は、机のサイズが足りていないともいえます。
そのため、メモリ不足は同時に複数のアプリケーションを起動できない、動作が安定しないといった要因です。
つまりメモリ増設はノートパソコンの性能を引き出すことで、速度アップや動作の安定性を高める効果が期待できます。
ノートパソコンのメモリについて知っておきたいこと
ノートパソコンのメモリ増設には、対応したメモリを選ぶ必要があります。
種類や容量を間違えてしまうと、増設できなかったり、期待した効果が得られなかったりするためです。
ここではメモリの基礎知識として、種類や費用について詳しく解説します。
メモリの種類は2種類|DDR3、DDR4
ノートパソコンに利用されているメモリは、主に「DDR3」「DDR4」の2種類です。この2つの大きな違いは、ピンの数が違うことです。
- DDR3:204ピン
- DDR4:260ピン
2つは形状が異なるため、DDR3とDDR4に互換性はありません。つまりDDR3対応のノートパソコンに、DDR4を増設できないので注意してください。
またDDR3よりも高性能・大容量を実現しているのがDDR4です。高性能のノートパソコンを探す場合は、DDR4かどうかもチェックポイントにすると良いでしょう。
補足として、メモリの性能は以下のように表記されます。
DDR4-2666
最初のDDR4はメモリの種類、後の4桁の数字はメモリの通信速度を表します。つまり、種類に続く数字が大きいほど高性能であることを示しています。
しかし、ノートパソコンで対応している種類や通信速度はモデルで決まっているため、増設の際は対応しているメモリを選んでください。
メモリの費用とは
メモリの費用は種類と容量によって異なります。
DDR3の4GBモデルであれば1,500円~3,000円程度、DDR4の16GBモデルであれば5,000円~7,000円程度です。
またメモリ増設は動作の安定性を高めるために、デュアルチャンネルと呼ばれる2枚とも同じメモリに交換するのが一般的です。
つまりメモリ増設は2枚のメモリが必要なため、合計1万円前後の費用が発生します。
ノートパソコンのメモリ増設に向け事前におこなうこと
ノートパソコンのメモリ増設で大切なのは、自分のノートパソコンのスペックにあったメモリを選ぶことです。
対応していないメモリを使用すると、故障や動作が不安定になる原因となるためです。
そこで事前に、対応しているメモリのチェックと必要な道具を準備してください。
事前に自分のパソコンのスペックを調べるには?
まずは自分のノートパソコンに、何GBのメモリが搭載されているのかを確認します。
Windows10の場合、左下の「Windows」アイコンから「設定」を選択してください。
次に「システム」を選択し、左サイドバーの下にある「詳細情報」を選びます。
するとパソコンのスペックが表示されますので、「実装RAM」の項目から搭載されているメモリの容量を確認しましょう。
搭載されているメモリの容量を把握できると、次はどの種類で何GBまでの構成に対応できるのかを説明書で確認します。
説明書がなければ、品番などから仕様書を検索してください。ノートパソコンによっては増設できないモデルもあるので、必ず確認が必要です。
購入するメモリの見方
ノートパソコンの仕様書には、メモリに関する情報として以下の項目があります。
項目 | 内容 |
---|---|
スロット | SODIMMといったメモリの規格 |
スロット数 | メモリを差し込める数 |
メモリの種類 |
DDR3やDDR4といった種類 |
メモリの通信速度 |
「3200MHz」のようにMHzを用いて表記 |
最大構成 |
ノートパソコンに搭載できるメモリの最大容量 |
最小構成 |
動作に最低限必要なメモリの容量 |
ここで問題となるのはどのメモリを購入すれば良いかです。
例えば、メモリの規格や種類は以下のように表記されます。
「SODIMM DDR4-3200 16GB」
このメモリの規格をそれぞれ分解すると、以下のとおりです。
- SODIMM:スロット
- DDR4:メモリの種類
- 3200:メモリの通信速度
- 16GB:メモリの容量
このようにスロット・種類・通信速度・容量をポイントにチェックすることで、自分のノートパソコンにマッチしたメモリを購入できます。
メモリ増設に必要な道具
メモリ増設に必要な物品は以下のとおりです。
- 対応したメモリ
- ドライバー +2.0mm
- 定規
- 薄手の布
- ネジ置き用トレイ
- 静電気防止手袋
- 説明書
ノートパソコンの本体は静電気に非常に弱く、不用意にバチッと静電気を発生させるとCPUなどが壊れてしまいます。
メモリ増設の際には静電気防止手袋を着用しましょう。
また不慣れな方は、カバーの取り外し方など確認するために説明書も用意してください
ノートパソコンのメモリを実際に増設してみました|増設のやり方
実際に筆者がノートパソコンのメモリ増設にチャレンジしてみました。その様子を紹介しながら、メモリ増設のやり方・手順を解説します。
今回使用したノートパソコンは、「DELL Inspiron 5515 15.6インチ」で、増設前のメモリは16GBです。
事前準備として、DELLの公式ページからノートパソコンのスペックを調べました。結果は以下のとおりです。
引用:DELL公式「Inspiron 15 5515 セットアップと仕様」
つまりDELL Inspiron 5515 15.6インチには、2枚のメモリが挿入できて、2枚×16GBの32GBが最大のメモリ構成とわかりました。
今回はDellノートパソコン16GB⇒32GBに増設
今回はDELL Inspiron 5515 15.6インチのメモリ16GBを、最大構成である32GBへ増設します。
メモリは公式ページのスペックから「SODIMM DDR4-3200 16GB」が2つ必要とわかります。
もし公式ページのスペック表からどのメモリを購入すれば良いか不安がある方は、価格.comのスペック情報ページを参考にする方法もおすすめです。
例えば、DELL Inspiron 5515 15.6インチの価格.comのスペック情報ページでは、メモリ規格は「DDR4 PC4-25600」です。
この「DDR4 PC4-25600」で検索すると、対応しているメモリを簡単に購入できます。
今回のメモリ増設では、Crucial 16GB DDR4-3200 SODIMMを2枚用意しました。
ここでの「DDR4 PC4-25600」と「SODIMM DDR4-3200」は、呼び方は異なりますが同一の規格と考えて問題ありません。
必要な物品をそろえたところで、早速メモリ増設の作業にとりかかっていきます。
1. PCの裏の蓋を外す
はじめにPCの裏の蓋を外します。
1-1. ピンクの丸印のネジをすべて外す
写真で示したピンクの丸印のネジをすべて外します。
ネジをなくすと困るので、なくさないようにトレイなどに置きましょう。それでも不安な方は、磁石につけておく方法もおすすめです。
1-2. 水色の丸印のネジをゆるめる
水色の丸印のネジをゆるめます。このネジは完全に取り外す必要がないため、ゆるめる程度で十分です。
すると「ビキビキ」といった音を立てながら、ヒンジ付近が少し開いてきます。
1-3. ヒンジ側にできた隙間からこじ開ける
ヒンジ側の開いた部分から、少しずつ定規などを使ってこじ開けていきます。
この際に、内部やノートパソコン本体に傷がつかないように、薄手の布を入れて作業しましょう。
PCの裏の蓋が外せると、上記の写真のように内部をよく確認できます。メモリが挿入されている部分は、写真の右上になります。
2.既存のメモリを取り外す
メモリ部分を拡大した写真は以下のとおりです。
メモリ部分には取り外し方がイラストで記載されていますので、この手順に従って実施します。
2-1. 表面をめくる
イラストがかかれている部分をめくります。
2-2. 両サイドの銀色の金具を外側に広げる
次にメモリの固定を外します。具体的にはメモリ両サイドの銀色の金具を写真の矢印のように外側へ広げます。
2-3. メモリを取り外す
するとメモリが浮き上がって、以下の写真のようになるので取り外します。
3.新しいメモリを取り付ける
下記の写真のように新しいメモリをつけたら、下方向に力を入れて取り付けます。
メモリを取り付ける際は、必ず金具がしっかりと固定されているか、正しくはまっているかを確認してください。
4.蓋をしめる
PCの裏の蓋をしめていきます。
上の写真のように蓋をいったんしめて、隙間がないことを確認してからネジでしめます。ここでのポイントは、1カ所ずつ一気にしめるのではなく、すべてのネジをまんべんなくしめることです。
5.メモリ交換後に警告の画面が表示される
メモリ交換後にノートパソコンを起動すると、警告画面が表示されます。警告画面の「Continue」を選択して、PCを再起動するとメモリ増設が完了です。
実際にメモリが増えているのかをWindowsメニュー「システム」から見てみると、以下のように32GBに増えていることが確認できました。
元々のメモリは16GB(8GB×2枚)で、2枚とも16GB×2枚に交換出来たのでメモリは32GGになりました。
筆者がメモリ増設にチャレンジしてみた結果、それほど難しいと感じることはなかったです。
ただし、蓋を外す際に「バキバキ」と音がして蓋を固定していたツメが2本折れてしまいました。
ネジでしめれば隙間なく埋まるため使用上の問題はありませんが、このようなこともあるので注意してください。
番外編:ついでにノートパソコンの掃除もおこないました
ノートパソコンを購入してから1度も蓋を開けたことがなかったので、ついでにファンの掃除もしました。
掃除用品には、「ダストブロワー」と「使い古しの歯ブラシ」を使っています。
ダストブロワーだけでは、こびりついたホコリがうまく取れなかったためです。
歯ブラシを使うことで、きれいに掃除できました。また、ファンの中心を指で押さえながらすると掃除しやすかったです。
その他:メモリ増設のよくある質問
ノートパソコンのメモリ増設に不慣れな方は、やり方やメモリの製品などについて不安や疑問に感じることも多いでしょう。
そのなかでも、よくある質問の「注意点」と「外付けが可能なのか」について紹介します。
注意点はある?
メモリ増設の際の注意点は2つです。
- 対応したメモリを購入すること
- 静電気に気をつけること
メモリ増設をする際は、お持ちのノートパソコンに対応したメモリが必要となります。
それ以外のメモリは取り付けられなかったり、故障したりするため注意しましょう。
またメモリやノートパソコン本体は、静電気に弱いため取り扱い方法によって故障します。
静電気を発生させないように対策しながら、チップや端子に触れないようにしてください。
外付けとの違いは?
メモリは内蔵タイプしかありません。
USBメモリを外付けのメモリと勘違いしてしまうかもしれませんが、USBメモリはストレージの一種です。
USBメモリをキャッシュメモリとして使用する方法もありますが、一般的な使い方ではメモリとして使えませんので注意してください。
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まとめ
ノートパソコンのメモリ増設は、お使いのモデルの性能を向上させるのに有効な手段です。
そのため「動作が遅くなった」「動作が不安定になった」と感じる方は、ぜひ紹介したやり方を参考にチャレンジしてみてください。
しかし、ノートパソコンにはメモリの最大構成が決まっていて、これ以上増やせない場合も珍しくありません。そのような場合は、ノートパソコンの買い替えを検討する時期がきたといえるでしょう。
買い替えの際には、不要なノートパソコンを下取りチェッカーで査定してみてはいかがでしょうか。
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