「冷蔵庫がいつもより異常に熱いな…」
というように、たとえば冷蔵庫の側面を触れたときに異常な熱さを感じたことはあるでしょうか?
じつは、冷蔵庫が熱いときは故障ではなく正常な反応であるケースがほとんどになります。でも、実際にこのような場合に遭遇すると、本当は冷蔵庫が故障しているのでは?と心配になってしまいますよね。
そこで本記事では、冷蔵庫の側面が熱い理由や予防について解説します。冷蔵庫が必要以上に熱くなっているときの対処法についても紹介しているので、お悩みの方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
冷蔵庫が熱いのは結局故障なの?
冒頭でもお伝えしていますが、冷蔵庫の側面が熱くなるのは故障ではありません。
理由として、ほとんどの冷蔵庫は「インナーコンデンサー方式」と呼ばれる「側面に張られた放熱パイプより熱を外に逃がしながら内部を冷やす仕組み」を採用しているためです。たとえば、夏場にエアコンで室内を冷やすときに室外機から熱を出しながら稼働するのと同じイメージです。
この仕組みによって冷蔵庫の前面や側面の温度は周囲より高くなるので、正常なときでも冷蔵庫の側面が熱くなっているというわけです。一般的な現象であることを覚えておきましょう。
ただし、冷蔵庫に触れないほど非常に熱くなっているときは故障をしている可能性があるため、その原因を探っていく必要があります。
冷蔵庫が熱くなりやすいのはこんなとき
次に、冷蔵庫が熱くなりやすいときの状況について解説します。
その状況とは、主に次の4つが挙げられます。
- 冷蔵庫を設置したばかり
- 設置環境の気温が高いから
- 冷蔵庫の周りに適度なスキマがないから
- 食べ物を詰め込みすぎている
それでは、順番に解説していきます。
冷蔵庫を設置したばかり
まず、設置してから2〜3時間以内の冷蔵庫は熱くなりやすいことを覚えておきましょう。
ここでは、2つの冷却するケースを例に挙げて説明します。
- ①「5℃(低温)」に保たれた庫内を「3℃」まで冷却する
- ②「20℃(常温)」に保たれた庫内を「3℃」まで冷却する
①は「すでに冷やされた庫内をさらに冷却する」場合、②は「冷やされていない庫内を冷却する」場合を表しています。①と②を比較した場合、より多くの冷やす力が必要になるのは「②」です。言い換えれば、庫内を3℃まで冷却するために内部がより高温である②のほうが放熱量が多くなります。
冷蔵庫を設置したばかりの庫内は常温であるため、②のケースとなります。つまり、冷却時の放熱量が多くなるために設置直後の冷蔵庫が熱くなりやすいというわけです。
もし「設置から1日経っても冷蔵庫がさわれないほど熱い…」という場合は故障も疑われますが、2〜3時間以内で熱さが解消する場合は正常なので様子をみましょう。
設置環境の気温が高いから
次に、設置場所の気温が高い場合も冷蔵庫が熱くなりやすい原因となります。
たとえば直射日光が当たる場所や、熱気がこもるような場所に冷蔵庫を設置していませんか?
このような設置環境の気温が高いところに冷蔵庫を設置してしまうと、効率よく熱を逃がすことができません。すると、庫内の温度が上昇してしまって全面に熱がこもる原因となります。
したがって、冷蔵庫自体も異常に熱くなってしまうことになるわけです。
もし冷蔵庫を気温が高いところに設置しているのであれば、涼しいところに移動させるなどの対策をしましょう。
冷蔵庫の周りに適度なスキマがないから
また、冷蔵庫の周りに適度なスキマがないことも冷蔵庫が熱くなる原因につながります。
先ほど述べたように、冷蔵庫は側面などから放熱して庫内を冷やしています。ところが、冷蔵庫が壁や家具などに接してスキマがないと、周りに熱がこもってしまって放熱ができなくなります。このような状況になると、側面は通常よりも熱くなったままとなり、冷蔵庫がうまく冷えない原因にもつながってしまいます。
そのため、冷蔵庫の周りには適度なスペースを確保しておくようにしましょう。参考として、パナソニックが推奨している「冷蔵庫の設置に必要なスペース」を下記に記載しました。ぜひ参考にしてみてください。
冷蔵庫のタイプ | 設置に必要なスペース |
---|---|
1ドア | 上部:10cm以上/左右:2cm以上/背面:10cm以上 |
2ドア | 上部:30cm以上/左右:2cm以上/背面:7cm以上 |
3ドア以上 | 上部:5cm以上/左右:0.5cm以上/背面:3cm以上 (*1) |
(*1)パナソニックの3ドア以上の冷蔵庫は基本的に背面に放熱スペースなし、湿気などが気になる方のみ3cm以上空ける
出典:冷蔵庫の設置に必要なスペース(放熱スペース)は│パナソニック(Panasonic)
食べ物を詰め込みすぎている
最後に、食べ物を詰め込みすぎていることも冷蔵庫が熱くなる原因となります。
基本的に、冷蔵庫が熱くなるのは「庫内をより冷やすために放熱しているとき」です。言い換えれば、冷却のパワーが大きくなるほど放熱量も多くなるということになります。
食べ物を詰めすぎていることで庫内で冷気がうまく循環しなくなります。すると、庫内の温度は上がっていくため、冷蔵庫はより強いパワーで冷却をして庫内の温度を下げようとします。したがって、放熱量が多くなるために冷蔵庫の側面が熱くなってしまうわけです。
そのため、庫内の適度なスペースを確保できるように食品の管理を徹底することが大事です。
冷蔵庫が熱くなる現象を防ぐには?
冷蔵庫が熱くなる原因を紹介したところで、次は熱くならないための対処法を解説していきます。
前提として「冷蔵庫が熱くなるのは故障ではない」ことが多いため、ほとんどは簡単な対処法となります。どれに該当するかを事前に確かめ、故障ではないかどうかを見極めてみてください。
食べ物を詰め込みすぎない
1つめの対処法は、食べ物を詰め込みすぎないことです。
冷蔵庫は、冷蔵庫の中にある「送風口」と呼ばれる場所から冷気を送ることで全体を冷やしています。(上記画像の赤枠部分)
ところが、食品を詰め込みすぎると送風口をふさいでしまうことになり、同時に冷気の通り道も確保できなくなります。したがって、庫内の隅々まで冷気が行き届かなくなってしまい、全体が冷えなくなってしまうのです。
このように食品を詰め込みすぎると冷蔵庫内が冷えなくなってしまうため、「最近、冷蔵庫がパンパンになっていたかも…」という心当たりのある方は以下の対処法を試して様子をみましょう。
- 古くなった食品を処分する
- 送風口の近くにある食品の置き場を変える
- 冷蔵庫内の内容物は7~8割程度に抑える
これらの対処をすることで、冷蔵庫の異常な熱さを解消できる可能性があります。
ドアの開閉頻度を見直す
2つめの対処法は、ドアの開閉頻度を見直すことです。
「冷蔵庫のドアを開けたままにしていると電気代がかかる」という話を耳にしたことがあると思いますが、これは事実です。
冷蔵庫のドアを開けたとき、「庫内の冷気が庫外に逃げること」と「庫外から温かい空気が庫内に入ってくること」の2つが発生します。したがって、ドアの開閉頻度が多くなるほど庫内の温度が少しずつ上がってしまいます。すると、庫内を冷却するために必要なパワー大きくなってしまい、パワーを補てんするための電力が増えることで電気代もかさんでしまうのです。
先ほど述べたとおり、冷蔵庫はより低い温度まで冷やそうとするほど冷却パワーが大きくなり側面が熱くなってしまうため、ドアの開閉頻度はできるだけ抑えることを心掛けましょう。同時に電気代の節約にもつながるので、ぜひ意識してみてください。
設置環境を見直す
3つめは、設置環境を見直すことです。
やはり、冷蔵庫が熱くなりやすい環境下に設置していると放熱もしにくくなります。もし冷蔵庫が以下のような場所に設置されているのであれば、別の場所へ設置することを検討しましょう。
- 直射日光が当たる場所
- 熱気がこもりやすい場所
- 周囲とのスペースがまったくない場所
冷蔵庫が熱くなりにくい場所や放熱スペースをしっかり確保できる場所を探して、設置してみてください。
ただし、上記に挙げる対処法をおこなっても冷蔵庫の側面が熱くなり続けて解決しない場合は、冷蔵庫が故障している可能性も考えられます。その際は、購入した家電量販店や冷蔵庫の製造メーカーへ問い合わせをしましょう。
冷蔵庫の熱は放置しないで…熱いことのデメリット
ここまでに冷蔵庫が熱くなる原因と対処法を解説してきました。ただ、ここまで読んでみても「冷蔵庫が熱くなりやすいだけだから、放置していても大丈夫かな」と思った方はいませんか?
確かに放置をしても冷蔵庫が使えなくなるレベルの故障にはつながりにくいですが、基本的には冷蔵庫が熱い状態をそのまま放置することをおすすめしていません。
ここでは、冷蔵庫が熱い状態を放置した場合の2つのデメリットについて解説します。もし「それはイヤだな…」と思ったものがあれば、早めに改善するようにしましょう。
冷蔵庫の寿命を縮めます
まず1つめのデメリットは、熱いまま放置し続けると冷蔵庫の寿命を縮めてしまうことです。
冷蔵庫が異常に熱くなっているということは、言い換えれば「冷蔵庫の機能は働いているが、必要以上に冷蔵庫へ負荷をかけて無理に動かしている状態に陥っている」ことになります。したがって、無理やり稼働させている状態が何年も続いてしまうと、冷蔵庫の寿命はどんどん縮まってしまいます。
どんな家電にも共通することですが、基本的に家電は消耗品になります。冷蔵庫の寿命はおよそ13年とされており、どれだけ大切に使うかで寿命の長さが前後します。冷蔵庫を長く使いたいのであれば、熱くなっている状態は放置しないようにしましょう。
熱いだけ電気代も上昇します
2つめのデメリットは、熱いまま放置し続けると電気代が上昇してしまうことです。
先述のように、冷蔵庫が熱い状態のまま必要以上の負荷をかけ続けている状態では、冷蔵庫の寿命に加えて電気代にも影響を及ぼします。たとえば、通常時に100%の力で冷やしていたものが120%の力で冷やし続けていることになれば、当然ながら電気代も上がってしまいます。
長く使いたいだけではなく、日頃の電気代を抑えたい方は早めの対処を心がけましょう。
冷蔵庫の熱についてよくある質問
最後に冷蔵庫の熱について、よくある質問に回答していきます。「冷蔵庫が熱くなることで、思わぬ事故につながってしまうのでは…」と心配する方向けの質問に回答していますので、気になる方は参考にしてみてください。
冷蔵庫の熱は何度まで上昇するの?
Panasonicと三菱電機の公式サイトによると、冷蔵庫の設置環境によっては50℃〜60℃まで上がることがあるようです。
【パナソニック】
冷蔵庫は庫内を冷やすために、本体の前面・側面に内蔵している放熱パイプを通して放熱する仕組みになっています。 そのため前面・側面が周囲の温度より高くなることがありますが、これは放熱によるもので、故障や異常ではありません。特に設置直後や、周囲の温度が高いとき、一度に食品をたくさん入れたとき、ドアの開閉が多いときなどは、庫内を冷却するために放熱量が増えることがあります(周囲温度30℃時、約50℃~60℃)。
熱いと感じても、冷蔵庫には保護装置がついているため発火や火災の心配はありません。異常が発生したとき(側面の温度が高すぎる、大きな電流が流れる、無理な力がかかるなど)は、強制的に運転を停止、またはエラーでお知らせします。
【三菱電機】
冷蔵庫の側面や天井は熱くなります。特に夏場は約50度~60度になり、床面から温風が出ることがあります。これは、冷蔵庫内を冷やすために必要な機能として放熱器が埋設されており放熱しているためです。
また、背面下部のモーター(コンプレッサー)は効率を上げるため風を当てて冷やしており、温められた風が出る場合があります。特に大きな力で冷やす据えつけ時や周囲が熱い夏場は、モーターを冷却して温められた風が冷蔵庫から排出されますが、庫内の食品には影響ありません。安心してご使用ください。
お風呂の温度であればイメージしやすいと思うのですが、50〜60℃という温度帯は「ヤケドまではしないが、長時間はさわれない温度帯」になります。冷蔵庫の仕組み上、側面が熱くなることはあるので、あせらず慎重に判断するようにしましょう。一方で、上記はとくに夏場に対して言及をしているため、冬場に冷蔵庫の周囲が50〜60℃の温度に達している場合は故障を疑ったほうがよいかもしれません。
冷蔵庫の熱で火事にならない?
冷蔵庫が熱くなることで火事の心配も生まれるかもしれませんが、冷蔵庫の熱で火事になることはありません。
物質には自然に燃え始める温度を指す「発火点」と呼ばれるものがそれぞれ存在し、フローリング(木材)の発火点は250℃〜260℃、新聞紙などの紙類は290℃となっています。一方で、冷蔵庫は最高でも50℃〜60℃までしか上がらないため、火事を起こすほどの温度帯に到底達しません。
むしろ火事になる原因としては、冷蔵庫のコンセントをつないでいる「たこ足配線」に気を付ける必要があります。コンセントを接続する電源タップには「定格容量」というものが定められており、たこ足配線によって定格容量を超えた電流が流れることで発火を引き起こし、出火の原因となってしまいます。
冷蔵庫などの大型家電を使用するときは、火事を防ぐためにもコンセントに直接つなぐようにしましょう。
まとめ
今回は、冷蔵庫の側面が熱くなる理由や予防、対処法について解説しました。
最後にもう一度、本記事の内容をまとめておきます。
- 冷蔵庫が熱くなるのは正常な反応であり、ほとんどが故障ではない
- 熱くなる理由は「インナーコンデンサー方式」と呼ばれる仕組みによるもの
- 冷蔵庫の設置直後や設置環境の気温の高さなどから、普段よりも熱くなるケースもある
- 食べ物の詰め込まない、ドアの開閉頻度を減らすなどにより予防も可能
- 高熱を放置することで「寿命の減少」や「電気代の上昇」につながるおそれもある
- 冷蔵庫の熱だけで火事になることはないため、その点は安心してもよい
- 冬場でも50℃〜60℃の温度になっているのであれば、故障を疑う
冷蔵庫は非常に高価でありながら、日常生活を支えるためになくてはならない重要な家電です。そのため、冷蔵庫が故障しているかどうかは生活の可否を左右するほどの影響を及ぼします。
この記事を読んで冷蔵庫に負荷をかけない使い方を意識し、少しでも長く使えるようにしましょう。
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