エアコンをつけると悪臭がする、くしゃみや咳が出るといった場合、エアコンにカビが発生しているかもしれません。エアコンの吹き出し口を見て黒い斑点がついているとカビが繁殖しているとわかるほか、外から見ただけでは気付かなくても、内部でカビが発生している可能性もあります。
エアコンが問題なく稼働するとはいえ、カビが繁殖したままのエアコンを使い続けると衛生的ではないうえに、健康被害が出る可能性もあります。
そこで今回は、エアコンにカビが発生する原因や放置するとどのようなリスクがあるのか、さらに適切な掃除方法を解説します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
エアコンにカビが生える主な原因
エアコンにカビが生えているのを見つけると、「家が汚いのだろうか」「きちんと掃除できていなかったのではないか」などと不安になる方も多いでしょう。
しかし、エアコンにカビが生えるのは珍しいことではありません。というのも、エアコン内部はカビが好む条件がそろっており、具体的には3つの条件がそろうとカビが発生しやすくなります。
- 快適な室温
- 高い湿度
- 汚れ
ここでは、エアコンにカビが生える主な原因について、一つひとつ詳しく解説します。
室温25~30度かつ湿度80%以上
まず、カビは「温度」と「湿度」の2つの条件がそろうことで発生しやすくなります。
温度は5度以上の環境なら繁殖できますが、とくに25〜30度で動きが活発になり繁殖しやすくなります。人間が快適に過ごせる室温は20〜28度なので、人間が過ごしやすい温度環境はカビにとっても過ごしやすい環境といえるでしょう。
また、カビは湿度が高い環境も好みます。空気中の湿度60%以上なら活発になりはじめ、湿度が80%を超えた状態だと急激に繁殖します。
つまり、雨などでやや湿度が高く、さらに人間にとって快適な室温を維持していると、自然にカビが繁殖しやすい環境になってしまうのです。
エアコンについた水滴を放置
先に解説したとおり、カビは湿度が高い環境を好みます。
雨が降った日などで湿度が60%程度になることは珍しくありませんが、湿度80%以上になることは梅雨時期をのぞくとあまりないでしょう。
ただ、カビが繁殖に使うのは空気中に含まれる水分ではなく、エアコン内や表面に付着した水分です。たとえば、夏場などに冷房や除湿運転をすると熱交換器に結露が発生し、エアコン内部の湿度が局所的に高まるため、結果的にカビが発生しやすい環境となります。
梅雨時期や夏場にエアコンを稼働させている間は常にエアコン内に結露が発生している状態となり、稼働させないときも水滴が付着したまま放置するとカビが好む環境になります。
ほこりや汚れがたまっている
カビは温度と湿度の条件に加え、エサとなるほこりや汚れがある状況でないと繁殖できません。
エアコンは室内の空気を取り込み、設定された温度に調整して空気を送り出すという動きをくり返しています。その際、きれいな空気を送り出すために、空気を取り込むとき部屋のホコリや油汚れ、タバコの煙などをエアコンのフィルターでキャッチしており、エアコン内部がどんどん汚れていきます。
つまり、エアコン内部はホコリや汚れが溜まりやすく、なおかつカビが繁殖しやすい温度と湿度の条件もそろうので、カビにとって絶好の環境になるのです。
エアコンのカビはそのままで問題ない?
エアコンにカビが発生していても、「問題なく稼働するなら掃除する必要がないのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし、エアコンのカビを放置するのはおすすめしません。ここでは、エアコンのカビを放っておくリスクを解説します。
健康被害が出る可能性
カビが生えたエアコンを使い続けると、エアコンから送り出される空気にカビの胞子が混ざった状態となり、日常的にカビの胞子が混ざった空気を吸い続けることになります。
カビの胞子が含まれた空気を吸い続けると、以下のような健康被害が懸念されます。
- 鼻づまり
- 肺炎
- 呼吸器系疾患
- アレルギー性鼻炎
- 夏型過敏性肺炎
こちらはあくまで一例ですが、ほかにもさまざまな健康被害を受ける可能性があります。ただちに健康被害が出る可能性は少ないものの、放置し続けるとカビの胞子を吸い続けて健康を損なうリスクが高まります。
エアコンから悪臭がする場合も
カビが繁殖したままのエアコンを稼働させると、悪臭がすることもあります。
とくに「ツンとしたすっぱい臭いが漂う……」という場合は、エアコン内部に発生しているカビが原因である可能性が高いでしょう。
不快な臭いを感じながら生活していると気分が悪くなったり、衣服や髪に臭いがついたりするケースがあり、周囲の人からもよくない印象を受けることがあります。
部屋の衛生にも悪影響
エアコン内部にカビが発生していると、エアコンから出る空気にカビの胞子が含まれ、部屋中に飛び散ってしまいます。
部屋中にカビの胞子が漂うと、必然的に家具やインテリアなどにもカビの胞子が付着します。たとえば、カーテンにカビの胞子が付着し、そこにホコリや水分などカビが繁殖しやすい条件がそろっていた場合、カーテンにもカビが発生するでしょう。
つまり、カビの胞子をまき散らすエアコンを放置していると、部屋中カビだらけになって衛生的によくない環境となるうえに、健康を害するリスクも高まるのです。
エアコンのカビを自分で掃除する方法
エアコンにカビが発生しているのを見つけたら、早めに掃除することが重要です。
分解して内部まできれいに掃除したいところですが、エアコンの構造は複雑なため、家庭で掃除できる範囲は限られています。
家庭でできるエアコンの掃除範囲は以下の2箇所です。
- フィルター
- 吹き出し口などの目に見える部分
無理にエアコン内部まで掃除しようとすると、故障するリスクがあるのでやめましょう。ここでは、自分でできるエアコンの掃除方法を解説します。
掃除の前には電源を切る
掃除中の誤作動や感電を防止するために、電源を切るのが最初のステップです。
リモコンで電源をオフにするだけでなく、コンセントを抜いて完全に電源が入らないようにしてから掃除を始めましょう。
フィルターなどの大きなホコリを取り除く
エアコンの電源を切ったら、大きなホコリを取り除きます。
カバーを外してプレフィルターを外し、大きなホコリを掃除機で吸い取りましょう。フィンの部分に溜まったホコリも掃除機で吸い取ります。
掃除機で吸い取れなかったホコリは綿棒や歯ブラシで擦って取りましょう。強くこすると故障の原因になるので、やさしく拭き取るように作業するのがポイントです。
吹き出し口は中性洗剤を薄めて拭き取り
ホコリを取り除いたら、フィルターを外した先にあるフィンや吹き出し口周辺を掃除してカビを取り除いていきます。
エアコンのカビ取りでは、家庭にある中性洗剤を使うのが手軽でおすすめです。雑巾に水で薄めた中性洗剤を染み込ませ、念入りに絞ってカビや汚れを拭き取ります。
カビの除去と聞くと、塩素系のカビ取り剤を使いたくなるかもしれませんが、エアコンに付着した洗剤は水で洗い流せないので使用を控えてください。
洗剤を水拭きで拭き取る
カビや汚れが落ちたら、水拭きをして洗剤を拭き取ります。
洗剤が残ったままだと故障の原因になったり、洗剤が混ざった空気が部屋に送られたりするので、洗剤が残らないよう念入りに拭き取りするのがポイントです。
また、水が付着したままだとカビが繁殖しやすくなるため、水拭きのあとは空拭きをして乾燥した状態にしておくようにしましょう。
カビ掃除は業者依頼がおすすめ
家庭でできるエアコン掃除の手順を解説しましたが、内部にカビや汚れが残ったままになっていることもあるでしょう。
ただ、これ以上掃除するのは怪我や故障のリスクがあるため、内部まで徹底的に掃除したい場合は専門の業者に依頼するのがおすすめです。
費用はかかるものの内部まできれいになるため、安心してエアコンが使えます。
カビをなるべく発生させないための方法
エアコンはカビが繁殖しやすい条件がそろうため、気が付いたときにはカビだらけになっていることも少なくありません。また、一度掃除しても、時間が経つと再びカビが発生してしまいます。
しかし、カビを予防できる方法もあり、簡単にできるため実践してみることをおすすめします。
冷房を使ったら送風にする
エアコンには冷房や暖房、除湿のほかに「送風」という運転モードがついています。
送風運転とは、室内の空気を循環させる機能のことですが、エアコン内部の湿度を下げる効果もあります。
そのため、内部に結露が発生しやすい冷房や除湿運転をした後は、そのまま電源を切るのではなく、送風運転をして電源を切るのがおすすめです。30分ほど送風運転をすることで、エアコン内部の湿気を除去でき、カビの発生を防止できます。
こまめに換気する
部屋を定期的に換気することで、エアコンはもちろん、部屋全体のカビ対策になります。
冬や夏は窓を閉めっぱなしにしがちですが、空気が入れ替わらないと汚れやカビが増える一方です。そこで、こまめに換気することでカビの数を減らせるうえに、カビのエサとなるホコリを屋外に逃がす働きがあります。
晴れた日は5〜10分でよいので、窓を開けて家全体の空気を入れ替えるようにしましょう。
フィルターのほこりや汚れを定期的に掃除
エアコンの掃除は年に1〜2回という方が多いのではないでしょうか。
しかし、カビのエサとなるホコリが付着したまま何か月も放っておくと、次第にカビが繁殖してしまいます。反対に、カビの栄養源となるホコリがすくなければカビの発生を抑えられるため、こまめに掃除することがポイントです。
1ヶ月に1〜2回を目安にフィルターやフィンのホコリを掃除機で吸い取るようにしましょう。可能であれば水拭き・空拭きを行い、掃除機では取り切れないホコリや汚れは綿棒などで掃除するとより効果的なカビ対策になります。
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まとめ
今回はエアコンにカビが発生する原因や正しい掃除方法、予防策などを解説しました。
最後に今回の記事をおさらいしておきましょう。
エアコンにカビが生える主な原因
- 室温25~30度かつ湿度80%以上
- エアコンについた水滴を放置している
- ほこりや汚れがたまっている
エアコンのカビを放置するリスク
- 健康被害が出る可能性がある
- エアコンから悪臭がする場合がある
- 部屋の衛生にも悪影響を及ぼす
エアコンのカビを自分で掃除する方法
- 掃除の前に電源を切る
- フィルターなどの大きなホコリを取り除く
- 吹き出し口は中性洗剤を薄めて拭き取る
- 洗剤を水拭きで拭き取る
カビをなるべく発生させないための方法
- 冷房を使ったら電源を切る前に送風を行う
- こまめに換気する
- フィルターのほこりや汚れを定期的に掃除する
また、エアコン内部は構造が複雑なため、家庭で掃除するのはおすすめしません。内部まで徹底的に掃除したい場合は、専門の業者に依頼するようにしましょう。
なお、エアコンはカビが発生したらさまざまなリスクがあります。カビが繁殖しやすい環境ですが、予防してできるだけ故障しないように大切に使いましょう。
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